あえて、システムリスクを取りに行くユーザ企業

 ■企業の経営回復力 継続的な成長と改革を実現するITとは?
  http://premium.nikkeibp.co.jp/ae/int/04/index.shtml

5ページ目の件が興味深い。

齋藤:  私たちの場合、“システムは自分たちで作って、自分たちで運用する”という発想です。いわば、「システム会社が証券会社をやっている」ようなものです。だから、システムに対してリスクを取ることができるし、その見返りにリターンも取ることができるのです。

 自分たちが、こういうサービスを提供したいので、こういうITを導入しよう、それでリターンを取っていく、というきわめて単純なことだと思います。

 これに対して、他の証券会社の場合は、結局は「金融機関」なのだと思います。つまり、システムに対して、自分たちで主体的に取り組んでいない。外部のメーカーやベンダー、あるいはシステムインテグレータに“丸投げ”をしているのです。

 ユーザー企業側は、システムに何か問題があれば、相手を訴えればいいというぐらいの感覚で、一方、そうした状況では、丸投げされた側は手堅くいかざるをえなくなります。また、ひとたび何か障害が発生すると、お互いに主体的にシステムにかかわっていないので、責任のなすりつけ合いをしてしまう。これでは、システムの積極的、効果的な活用はできないと思います。

 システムに主体的に向き合う企業は、他社には実現できないサービスの展開が可能という例。言葉にすると当たり前のことなのだが。

 通常、企業は業務への取り組みの中で、何らかの形でリスクテイクを行っているが、システムを根本においている企業の場合には、業務上のリスクとシステムのリスクを同一化できるということなのかもしれない。単なる思いつきだが。

──あえてお聞きしたいのですが、システムを自社で持ってしまうと、やはりそれはそれで、大きなリスクを抱えてしまうことになると思うのです。いかがでしょう?

齋藤:  システムでリスクを取りたがらない会社は、システムでリターンも得ることはできません。「うちはシステムを活用して差別化を図るんだ。システムで経営効率を高めていくんだ」という会社は、やはりシステムでリスクを取ります。当社はまさにこのタイプです。

 重要なことは、システムで「リターンを取りたいからこそ、そのリスクも取る」ということです。